看護師がミスで「辞めたい」と思ったとき|落ち込みから立ち直る方法と判断基準

またミスした…辞めたいと思ったあなたへ

またミスしてしまった。
もう看護師に向いていないのかもしれない…

家に帰ってからも頭の中でシーンがリプレイされて、眠れない夜を過ごしたこと、ありませんか?

私はあります。
それも、一度や二度じゃなく。

急性期病棟で9年半働いてきた元ナースとして、正直な話をしようと思います。

ミスやインシデントで「もう辞めたい」と思ったとき、どうしたらいいのか。
気持ちの整理の仕方、立ち直り方、続けるか辞めるかの判断基準を、自分の体験を交えながら書いていきます。

目次

ミスで「辞めたい」と思うのは、甘えじゃない

まず最初に、これだけは言わせてください。

ミスをして「辞めたい」と思うのは、甘えでも弱さでもありません。

むしろ、それはあなたが真剣に仕事に向き合っている証拠です。
どうでもいいと思っている人は、ミスをしても「まあいっか」で終わります。
眠れないくらい落ち込むのは、それだけ責任感があって、患者さんのことを本気で考えているから。

「こんなことで辞めたいなんて、プロとして失格かも」という罪悪感まで抱えているなら、もうそれだけで十分すぎるほど頑張っています。

私が「もう辞めよう」と思ったインシデントの話

うずくまる女性

少し、私自身の話をさせてください。

脳神経外科・神経内科病棟で働いていた3年目のころの話です。
意識障害がある患者さんのルート管理をしていたとき、点滴の速度確認がきちんとできていなくて。

投与後に気づいてすぐ先輩に報告したのですが、そのときの「やってしまった」という感覚は今でも覚えています。

幸い患者さんへの大きな影響はなかったけれど、帰り道ずっと泣いていました。
翌日の申し送りが怖くて、病棟のドアを開けるのに勇気がいりました。
1週間くらいフラッシュバックが続いて、仕事に行くのが本当につらかった。

「自分は看護師に向いていないんじゃないか」「また同じことをしてしまうんじゃないか」という気持ちが消えなくて、「もう辞めようかな」という考えが頭をよぎったのは、正直な話です。

その後も、大小さまざまなインシデントを経験しました。
転倒リスクの高い患者さんを目を離した隙に転倒させてしまったり、申し送りのミスで情報がうまく伝わっていなかったり。

そのたびに落ち込んで、師長に報告して、インシデントレポートを書いて…。
本当に、何度「もう辞めよう」と思ったかわかりません。

ミスのあとに陥りやすい「3つの思考パターン」

悩んでいる女性

自分の経験を振り返ってみると、ミスのあとに落ち込んでいるとき、だいたい決まった思考パターンにはまっていました。

①「私だけがダメ」と思い込む

「なんで自分だけこんなにできないんだろう」と思いませんか?
周りの先輩たちはテキパキ仕事をこなしているのに、自分だけ失敗して…と。

でも実際には、経験豊富な看護師でもインシデントは起こしています。
ただ経験が増えると「これ、ヤバいな」という感覚が研ぎ澄まされて、大きなミスになる前に気づけることが増えるだけ。

誰もがミスをしながら成長してきているんです。

先輩が「私もね、3年目の頃に似たようなことやったよ」と話してくれたとき、その一言がどれだけ救いになったか。

「自分だけじゃないんだ」と思えると、少し楽になれます。

②ミスを「自分の人格のせい」にする

「なんで確認しなかったんだろう」という反省は大切です。
でも、そこから「自分は根本的にダメな人間だ」という方向に向かうのは危険です。

ミスはたいてい、環境・状況・タイミングなど複数の要因が重なって起きます。
人手不足で一人あたりの患者数が多すぎた、夜勤明けで集中力が低下していた、チームの連携がうまくいっていなかった…

そういった要因を無視して「自分が悪い」だけで終わらせるのは、本当の意味での再発防止にもなりません。

ミスの原因は「自分の人格」ではなく、「そのときの状況」にある。
少し視点を変えてみることで、客観的に振り返れるようになります。

③「また起こすかもしれない」という恐怖が消えない

一度ミスをすると、「自分はミスをする人間だ」というレッテルを自分に貼り始めます。
点滴を繋ぐたびに、与薬をするたびに、「また間違えたらどうしよう」という不安が頭をよぎる。

この状態が続くと、職場に行くこと自体が怖くなります。
ただ出勤するだけで消耗してしまう、というのが一番つらいんですよね。

立ち直れないときに、まずやること

気持ちが沈んでいるとき、無理に「大丈夫」と思い込もうとするのは逆効果です。
私が実際にやってみて効果があったことを、正直に書きます。

① とにかく「話す」

友達と話す女性

一番効いたのは、これです。
一人で抱え込まないこと。

先輩でも同期でも、信頼できる人に話を聞いてもらうだけで、気持ちが軽くなりました。
アドバイスがほしいというより、「聞いてもらう」だけでいい。
当時の同期に「またやっちゃった…」と電話したとき、「え、私なんか先週もっとやばいのやったよ」と言ってくれて(笑)、なんだかすごく救われた記憶があります。

職場に話せる人がいないときは、日記でも、SNSのつぶやきでもいい。
感情を外に出すことが大切で、頭の中だけに閉じ込めておくと、どんどん大きく膨らんでしまいます。

② ミスの「事実」と「感情」を分けて書き出す

ノートに書き出す

頭の中でぐるぐるしているうちは、感情と事実が混ざり合っています。
紙に書くことで整理できます。

例えば「○時に点滴の速度を確認せず繋いだ(事実)」「患者さんに何かあったらどうしようと怖い(感情)」というように。事実と感情を分けると、自分が実際にやったこと・やっていないことが明確になって、少し冷静になれます。

③ 「次はどうするか」だけを1つ決める

指差しをする看護師

「なんであのとき確認しなかったんだろう」という後悔のループより、「次回は二重確認する」「指差し確認を必ずする」という具体的なアクションを1つ決める方が、気持ちの立て直しには有効です。

ベテランの先輩が言っていた言葉で、今でも覚えているのが「インシデントレポートを書いたら、もう十分反省した証拠。書いたあとは次に活かすことだけ考えなさい」というもの。

インシデントレポートは責められるためではなく、再発防止のためにある。
そう思えると、レポートを書くことも少し楽になります。

④ 「自分を罰しない」と決める

胸に手を当てる

ミスをしたとき、無意識にご飯を食べなかったり、好きなことをするのを我慢したりしていませんか?
「こんなに落ち込んでいるのに、楽しいことをするなんて」という気持ち、私にもありました。

でも、身体が疲れると判断力が落ちて、また次のミスにつながりやすくなります。

ミスをしたあとでも、ちゃんと食べてちゃんと寝るのが、実は一番大切なことだったりします。

⑤ 「次の誰かのために」と思えたとき、失敗が財産になる

ガッツポーズする看護師

これは少し時間が経ってからできることなんですが、自分が経験したミスやヒヤリハットを後輩に伝えることで、同じ失敗を防げることがあります。

「私のこの失敗が、誰かの役に立つ」と思えると、ただの「失敗」が「経験値」に変わっていく感覚がありました。
そう思えるようになってから、インシデントへの向き合い方が少し変わりました。

「辞めたい」気持ちが続くときの判断基準

立ち直り方を試してみても、「やっぱり辞めたい」という気持ちが続くときは、そのサインをちゃんと受け取ってあげることも大切です。

大事なのは、「今のしんどさが一時的なものか、構造的な問題か」を見極めることです。

もう少し様子を見ていいサイン

  • 1週間ほどで少しずつ気持ちが落ち着いてきた
  • ミス以外の時間は職場が苦痛でない
  • 先輩や同僚との関係は比較的良好
  • 「もっとうまくなりたい」という気持ちがまだある

このパターンなら、時間と自分なりのケアで回復できることが多いです。

転職を真剣に考えていいサイン

  • ミス後に全否定・人格攻撃をされた
  • 職場全体の雰囲気が怖い、支え合う文化がない
  • 眠れない日が2週間以上続いている
  • 食欲がなくなった、涙が止まらないなど身体症状が出ている
  • 「看護師自体が嫌だ」ではなく「この職場が合わない」という感覚がある

「職場が合っていない」と「看護師に向いていない」は、まったく別の話です。

私が9年半の中で感じたのは、同じミスをしても「大丈夫?」と声をかけてくれる職場と、「何やってんの」と責められる職場では、回復スピードがまったく違うということ。
ミスを繰り返してしまうのは、本人の問題というよりも、サポートが足りない環境の問題であることが多いんです。

「環境を変える」という選択肢も、あっていい

チェンジ

急性期病棟で働いていた頃は、本当に忙しくて、一人あたりの患者数も多くて、常に何かに追われている感覚がありました。その環境では、どんなに気をつけていても、ヒヤリハットが多くなりがちでした。

でも、看護師の職場は急性期病棟だけじゃないんですよね。

クリニック・訪問看護・介護施設・療養型病棟など、働く場所によって業務のペースも患者さんとの関わり方も全然違います。
「急性期がきつかった」という経験を、「看護師に向いていない証拠」に変換しなくていいんです。

「辞めたい」「転職したい」という気持ちは、逃げじゃなくて、自分を守るための正当な選択だと私は思っています。

まず「逃げ道」を知るところから始めていい

私が最初に転職サイトに登録したのは、まだ転職するか決めていない段階でした。
登録してエージェントに「今どんな状況ですか?」「希望はありますか?」と聞いてもらえたのは、正直ほっとしました。

「まだ辞めるか決めていない」段階でも、登録していい。
求人を眺めるだけでも「こういう職場もあるんだ」「逃げ道がある」という安心感になります。

今すぐ辞めなくていい。
ただ、選択肢を知るだけでいい。

看護師専門の転職サイトを活用すると、自分がどんな職場に向いているかを相談しながら、次のステップを一緒に考えてもらえます。
複数登録しておくと紹介される求人の幅も広がるので、まずは1〜2社、気軽に登録してみることをおすすめします。

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まとめ|ミスをしながら成長するのが、看護師という仕事

今日お伝えしたかったことを、最後にまとめます。

  • ミスで辞めたいと思うのは、甘えではなく真剣さの証拠
  • 「私だけがダメ」「自分の人格のせい」という思い込みに気をつける
  • 立ち直りには「話す」「事実と感情を分ける」「次の行動を1つ決める」が効く
  • 2週間以上、眠れない・食べられない・動悸がするなら心が限界のサイン
  • 職場が合わない」と「看護師に向いていない」はまったく別の話
  • 環境を変えることは逃げじゃない。まずは選択肢を知るところから

看護師は、ミスをしながら成長していく仕事だと思っています。
失敗ゼロで突き進める仕事じゃない。

だから、一つひとつのミスに丁寧に向き合って、そこから少しずつ経験を積んでいく。
その繰り返しが、いい看護師を作っていくんだと、私は信じています。

今日落ち込んでいるあなたへ。
あなたは十分、頑張っています。
少し休んで、また明日に向き合えたら、それでいいと思います。

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